Vol.110「弦が奏でる新涼のコンサート」



横山亜美さんによるヴィヴァルディの「四季」全組曲をお楽しみください。
四季それぞれに美しいイタリア語のソネットの朗読―意味は分からないけどリズムが心地よいー
軽快な日本語訳の朗読―ここで情景が浮かびますー
そして、ヴァイオリンとピアノの演奏―音楽と情景がひとつになりますー

虫の音も聞こえてきそうな秋の始まりの日を桜の庄兵衛でお迎えください。

2021年9月19日(日)

昼の部13:00開演(12:30開場)60名様

夕の部16:30開演(16:00開場)60名様


★参加費 3000円

 

★出演

 横山亜美 (Ⅴn)
    武田直美 (Pf)

■プログラム

 ビバルディ 「四季」全曲
 バッハ  G線上のアリア
   他



プロフィール

ヴァイオリン 横山亜美

大阪箕面市生まれ。6歳よりヴァイオリン指導者だった父 横山莞五、プロヴァイオリニストだった母 清水玲子より手ほどきを受け、
ヴァイオリンをはじめる。幼い頃から一家全員ヴァイオリン奏者という家庭環境で育つ。
2008年よりイタリアに留学、2013年クレモナ国立C・モンテヴェルディ音楽院を主席で卒業。同年、フィレンツェ国際バイオリンコンクールで第一位受賞。
2013年完全帰国した以降現在まで生まれ育った大阪箕面を拠点に、国内各地演奏活動を行っている。
セレーノ・チェンバーオーケストラ常任コンサートマスター。
2019年10月から今日に至るまで、音楽や人との関わりを大切にしたいという想いから演奏や音楽談義を届けるネットア配信アプリ「17live」の活動を行なっている他、
オンラインコンサートなどの演奏活動にも精力を注いでいる。
2017年アルバム「A piacere ~Bach & Telemann for solo violin~」をリリース、そのほかにも数々のCDアルバムを出している。
二つ上の姉もプロヴァイオリニストで、2020年4月イタリアの病院の屋上から医療従事者に向けて演奏をした横山令奈。
その活動より、箕面市特命大使として2021年1月に箕面市長より姉妹で共に任命された。v

ピアノ 武田直子
大阪府立夕陽丘高等学校音楽科を経て、京都市立芸術大学音楽学部ピアノ専攻を首席で卒業。
卒業時に音楽学部賞、京都音楽協会賞を受賞。
2003年からUniversity of North Floridaへ留学。帰国後ソロコンサートや伴奏活動を積極的に行う。
第51回全日本学生音楽コンクール大阪大会第一位、ピティナピアノコンペティションG級銅賞、日中友好学生音楽コンクール大学の部第二位。
これまでに酒巻克子、大冨栄里子、丸井理恵、中田元子、田隅靖子、Gary Smartの各氏に師事。
現在武田音楽教室講師、ヤマハ音楽教室ピアノ講師。

 


               「しゃべるヴァイオリニスト」の本領発揮                                山村 敦子

              

 長雨の続いた9月半ばでしたが、この日は秋の気配が感じられる高く澄みきった青空の午後でした。

 

 鮮やかな花柄のドレスを身に纏ったヴァイオリニスト横山亜美さん(プログラム後半のMCでわかったのですが、今は亡きお母さまのドレスだそうです)と、淡いピンクのドレスのピアニスト武田直子さんが登場され、おふたりの華やかな雰囲気が、会場を包みました。

 

 オープニングはバッハ作曲「G線上のアリア」です。

静かに演奏が始まると思っていましたが、「出たぁ~!やはりしゃべるのかい!」と私は心の中でつぶやいていました。実は、亜美さんとは個人的なご縁があり、3年ほど前から時々我が家を訪れてくれます。その際には彼女の気さくで明るい性格とお互いにワインが大好きということで、すぐに飲み会が始まります。そしてその時の彼女は、ジャンルを問わず、すべての音楽を愛していること、そしてそれぞれの作品と真摯に向き合い、いかに演奏するべきかなどを熱く語ってくれます。

 

 今回のコンサートもやはり始めから「おしゃべり」は好調でした。しかし、ひとたびヴァイオリンを演奏する構えに入ると、周りの空気はピタッと変わり、次に天から舞い降りた様な美しい音色を私たちは浴びることになりました。G線の弦のみで演奏するのは難しいそうですが、編曲者のウィルヘルミの時代の奏法で奏でてくれました。

 

 次はヴィヴァルディの「四季」です。私は以前に何度か「四季」を聴いたことがありますが、ピアノとのデュオは初めてでした。亜美さんもコンサートの中で話されていましたが、オーケストラのパートをすべて武田直子さんがピアノ一台で担当され、まさしく「縁の下の力持ち」が、いらっしゃったことで実現できたのだと思いました。

 

 さて亜美さん流「四季」のはじまりです。

 「春・夏・秋・冬」をそれぞれ演奏する前に、流暢なイタリア語でソネット(14行の詩)を読みそれを日本語に訳していきながら、ヴィヴァルディの暮らした土地だからこその気候の変化やそこに登場する生き物たちなどの自然の様子を解説し、そして演奏へと続いていきました。春を待ちわびる人々のワクワクした気持ち、ハエやアブが飛んでいる音、収穫祭で飲みすぎて寝落ちしてしまった村人の様子、あまりの寒さに歯をガチガチさせている音など、そんな情景を私は演奏を聴きながら思い浮かべ、巧みな表現力により、迫力のある響きや繊細な音などに魅了されていきました。

 

 アンコールはイタリアの作曲家モリコーネの「ガブリエルのオーボエ」でした。亜美さんのお姉さまの令奈さんが、昨年4月コロナ禍の中、クレモナの病院の屋上で演奏された曲です。モリコーネは昨年の7月にこの世を去りましたが、歴史ある「桜の庄兵衛」で、抒情的な亜美さんの演奏によって音楽は永遠に繋がっていくものだと感じました。

 

 

 最後に、ヴァイオリニスト横山亜美は、クラッシックにあまり詳しくない方にも、クラッシックが大好きな方にも楽しめる「しゃべるヴァイオリニスト」としてこれからも益々輝き続けることを改めて確信した一日でした。