Vol.90 青田を渡るはつ夏の風コンサート


「Station to Station」~音絵物語~

絵に香りや音が聞こえてくるように、音楽にも絵や、ストーリーが見えてくる、それらをもっと具体化して皆さんの心に届けたい。

子供たちだけでなく、大人の皆さんにも、日常が、もっと楽しくなるような、アートの世界からの贈り物、、、

 曲は、全曲、書き下ろしです。ご期待ください!

 

日時

 2017年6月18日(日)

<昼の部>開演13:00(12:30開場)

<夕の部>開演16:30(16:00開場)

 

出演

  鬼武 みゆき(作曲、ピアノ)

  渡辺 亮(絵、パーカッション)

参加費 2500円

 

 


鬼武 みゆき  (コンポーザー&ピアニスト)

 

6枚のオリジナルアルバムを発表。小栗康平監督映画「埋もれ木」の挿入歌作曲、東京理科大学オリジナル楽曲「未来への約束」作曲。

36作品インターネット配信したショートムービーシリーズ「1 minute piece "Happiness is ... "」は、国内外で話題を呼ぶ。

加藤登紀子、手嶌葵などのレコーディング、コンサートにアレンジ、演奏で参加。

ジャーナリスト・鳥越俊太郎や、写真家・森日出夫らと、様々なコラボレーションも積極的に行っている。現代を生きる私達に元気と安らぎを与えてくれるアーティスト。

http://www.onitake.com/

 

 

渡辺 亮(わたなべ りょう)/パーカッショニスト

1958年、神戸市生まれ、京都在住。

音楽に色彩と空間を与えるパーカショニストとして、数多くのアーティストと共演、レコーディングに参加。

東京青山「こどもの城」の講師を経て、「鼓童」アースセレブレーション、いわき芸術交流館アリオスなど、全国でパーカッションのワークショップを行っている。

ソロ・アルバムに「ウォレス・ライン」「モルフォ」、著書に「レッツ・プレイ・サンバ」(音楽之友社)がある。武蔵野美術大学卒業、東京学芸大学非常勤講師。

 


 

「青田を渡るはつ夏の風コンサート」    奥野裕美

 

 

『絵に香りや音が聞こえてくるように、音楽にも絵や、ストーリーが見えてくる。日常が、もっと楽しくなるような、アートの世界からの贈り物。』というメッセージと共に、鬼武みゆきさん(作曲とピアノ)と渡辺 亮さん(絵とパーカッション)が、『Station to Station~音絵物語~』と題して、横浜から神戸、京都、そして桜の庄兵衛さんにやって来られました。

 作曲…曲を作る時のきっかけは、いろいろあります。愛する人へのメッセージソングや友人への応援ソング、おいしいお菓子を食べた時、心打たれる風景を見た時…などなど。そこからイメージしてストーリーを考え、曲を組み立て育てていきます。

 音楽教室で子どもたちに曲作りを指導してたくさんの可愛いメロディに出会う毎日ですが、中でも子どもたちとのコミュニケーションに絵を活用しています。このコンサートのお誘いを頂いた時は、まさにツボにはまった感じでした。

お昼の部にはエレクトーンの他にも油絵も習っているという生徒さん親子をお誘いし、絵と音の繋がりを堪能して頂けたようです。

さて、夕の部。6月のさわやかな風をうけて、少し傾いた日差しの中。グランドピアノの横には、たくさんの絵と民族調パーカッションのセッティング。

軽快なリズムに乗って始まった1曲目は、『Station to Station』の「テーマ曲」。ピアノの音色と共に民族楽器の不思議な音色に引き込まれて一気に別世界へ…。

 ご挨拶の後、小さな絵が登場。人物?たくましい男性の姿?…亮さん曰く「蒸気機関車の機関士」だそうです。「ミスター・クール」。大きな太鼓の力強い音色につられて、小さな絵が大きく見えてきましたよ。

 次に現れたのは、2枚の絵。横浜の赤灯台と神戸の白灯台だそうです。これは、誰が見ても灯台の絵です。お話によると灯台は航路標識で右舷に赤、左舷に白となっているそうです。港に帰って来る船への目印なのですね。「ライトハウス~灯台~」。航海を終えて帰ってきた船へお帰りなさいのメッセージを込めて…大海原を思わせるゆったりとしたイントロからダイナミックな曲が繰り広げられました。

「鉄橋ガタンゴトン」。またもや理解不能な絵です。青い三角形が描かれた幾何学模様。お話を伺うと…おや?鉄橋が見えてきました。リズムに乗って、ガタンゴトン。クイーカーの音色が不思議な世界へ誘ってくれるようです。話し声のようにも聞こえます。楽しい機関車の旅です。

フランス旅行のお話から「モンサンミッシェル」。果てしなく続く道の先にあるものは…世界遺産のモンサンミッシェル。見たこともない景色を亮さんの神秘的な絵から想像し、鐘の音色に早朝のフランスを感じ、壮大な大自然を思わせるすばらしい曲でした。お二人の不思議なテレパシーのお話も興味深かったです。

 さて、一部はここで終了。休憩時間。改めて亮さんの絵を観て、お茶の時間。美味しい。ゆっくりとお部屋やお庭を見回すと、よく手入れされていて、ご尽力と愛情を感じました。

 二部の初めは、桜の庄兵衛さんの正面の大けやきの絵から始まり、奥野夫妻のお人柄を思わせる明るい応援ソング「桜の庄兵衛」。たくさんの方が集っているかのように、調子もいろいろ…さわやかな一曲でした。

次に、雨をテーマにした曲「レイン」。どしゃぶりの雨の後の雨粒がキラキラと輝いている様子を表現したとのこと。ラテンパーカッションの軽快なリズムに乗って、ウキウキした気分にさせてくれました。この曲も早朝の風景…鬼武さんは早起きなのかな8曲目。出ました!人物画シリーズ…凛とした女性の姿。何を訴えているのかな。まだ夜。「スティルナイト」。

 最後は、後方に控えていた絵が登場。線路と空の絵。パースペクティブ(遠近法)を追求してできた作品だそうです。奥行きがあり、大地のはるか遠くまで線路が続いているかのようです。広大なアフリカの風景を思わせる曲。「アフリカ」。アフリカ発祥の弦楽器で、弓矢を棒でたたいて演奏するビリンバウのソロから始まり、鬼武さんのスリムな腕と指先が奏でる力強いサウンドと民族楽器のコラボを堪能しました。聞くところによると、渡辺 亮さんはビリンバウ奏者でも有名だそうです。

落ち着いた雰囲気の中、桜の庄兵衛さんからフランスやアフリカまで旅することができた夕の部の2時間ほど。とても充実した楽しい時間を過ごすことができました。音楽だけでは伝えきれないイメージを絵をモチーフにして具体化し表現することで、曲への想いが聴き手の心に届くことを実感しました。

桜の庄兵衛さんでのコンサートは初めての参加でしたが、癖になる楽しみを見つけてしまいました。

これからもよろしくお願いします。